今月の臨床 常位胎盤早期剥離─ワンランク上の診断と治療
病因とリスク因子
平松 祐司
1
,
延本 悦子
1
,
増山 寿
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科産科・婦人科学教室
pp.1308-1312
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102827
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常位胎盤早期剥離(以下,早剥)は全妊娠の0.4~1.3%に発症し,母児の死亡にも直結する重要な疾患である.米国の7,508,655単胎妊娠の集計では46,731例の早剥が発生しており,頻度は0.62%である1).早剥合併妊娠の周産期死亡率は幅広い分布を示すが,それは発症週数,児体重,胎盤剥離面積などに依存している.表1には児出生体重別の周産期死亡を示すが,正常妊娠で最も周産期死亡率の低い出生児体重3,500~3,999 gの群では,早剥があると周産期死亡の相対危険率は25倍に増加する1).
早剥のはっきりした病因は不明であるが,50以上のリスク因子が知られており,年齢,経産回数,生活習慣,既往歴,母体因子など多岐にわたる.表2にはTikkanenのレビュー2)に取り上げられた因子を示す.また,表3には単胎の初産婦5,630,854例,経産婦11,026,768例の報告から各種リスク因子を比較したものを示す.本論文での早剥発生率は単胎4.8,多胎5.9(対1,000妊娠)である3).
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