今月の臨床 常位胎盤早期剥離─ワンランク上の診断と治療
早剥の疫学―最近の傾向
山田 崇弘
1
,
水上 尚典
2
1北海道大学病院産科
2北海道大学大学院医学研究科産科・生殖医学分野
pp.1298-1300
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102825
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常位胎盤早期剥離(早剥)の発症頻度はその母集団により違うことがあるものの全分娩の1/100~1/200程度といわれ,全早産の10%ほど,あるいは全死産のうち10~20%ほどは早剥によるものとされている1, 2).その周産期死亡率は全体の周産期死亡率に対し10倍以上高く3),もし救命できても15%ほどは最初の一年に神経学的異常が指摘される1).早剥はしばしば母体死亡の原因ともなり1991~1992年のわが国の母体死亡例のうち詳細な調査が可能であった197例中13例(6.6%)が早剥かつ播種性血管内凝固症候群(DIC)による死亡であった4).
本稿では2004年に日本産科婦人科学会によって行われた全国調査の結果を元にわが国の早剥の実情について概説する.
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