今月の臨床 不妊診療のABC─ARTの前にできること
不妊原因診断とARTの前の対処法
9.子宮内膜症
伊東 宏絵
1
,
井坂 惠一
1
1東京医科大学産科婦人科学教室
pp.1152-1155
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102784
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不妊症とは妊娠を望んでいるのに妊娠しない状態のことであるが,ひと言で不妊症といっても,その種類や原因はさまざまであり,原因が特定できる場合と原因不明の場合がある.色々な検査も必要で,治療が長期間に及ぶケースも少なくない.現在,第1子出産年齢の平均は29.9歳(2010年)と晩産化しており,出産年齢についても30~34歳が最も多く,出産年齢の高齢化が起きている(厚生労働省平成22年度「出生に関する統計」より).これは晩婚化による影響と考えられるが,いずれにせよ治療が難しくなる高齢婦人の不妊治療が増加しているのが現状である.高齢不妊の場合にただちにARTを選択することも多いが,子宮内膜症や子宮筋腫など受精や着床に悪影響を及ぼすと考えられる疾患が存在する場合,ARTだけでは治療に苦慮することが多い.このような症例では,まずこれら疾患の治療を優先し妊孕の環境を整えることが結局は妊娠の近道になることも少なくない.
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