今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
産道感染・母乳感染への対策
1.肝炎ウイルス(B型,C型)
米田 哲
1
,
中島 彰俊
1
,
斎藤 滋
1
1富山大学産科婦人科
pp.1024-1028
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102754
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B型肝炎ウイルス,および,C型肝炎ウイルスは,肝細胞を標的として感染し,肝細胞にて増殖し,肝炎を惹起するウイルスであり,現在もなお,母子感染による児のキャリア化を生ずる問題を残している.これらのウイルスは,いわゆる遅発性感染ウイルス(slow infection virus)であるが,将来,慢性活動性肝炎,肝硬変,肝細胞癌へと深刻な病状へと進展するため,母子感染を可能な限り減少させる対策が求められる.
また,SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが低下するなどの母乳が新生児へ与える影響1),あるいは母乳育児が母親に与える利点(乳癌,子宮体癌発生率の低下など)を考えると,可能であれば母乳育児を推奨したいところであり2),これら肝炎ウイルスの母乳育児による新生児への感染率,影響力を正しく理解し,正確な情報を提示する必要がある.
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