今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
産道感染・母乳感染への対策
2.HTLV─1
三浦 清徳
1
,
増﨑 英明
1
1長崎大学医学部産科婦人科学教室
pp.1029-1037
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102755
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成人T細胞白血病(ATL)やHTLV─I型関連脊髄症(HAM)の原因であるHTLV─1の主な感染経路は,母乳を介した母子感染である.HTLV─1キャリアは九州・沖縄など一部の地域で高頻度に認められ,長崎県では1987年からHTLV─1母子感染予防事業に取り組み,妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングシステム,検査結果の説明とカウンセリング,フォローアップに至るHTLV─1母子感染予防に関するプロトコールが整備されている1, 2).一方,平成20年度・平成21年度厚生労働科学研究事業報告により,HTLV─1キャリアが大都市圏に拡散し全国的な妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングの必要性が判明した3, 4).『産婦人科診療ガイドライン産科編2011』では,妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングはCからAに引き上げられ5),これまでHTLV─1キャリアが低頻度であった地域においても,妊婦のHTLV─1抗体スクリーニングシステムの確立が必要とされている.
本稿では,HTLV─1母子感染予防対策について,長崎県における取り組みとその成果をもとに解説する.
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