今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
胎内感染のリスクと対策
2.梅毒,結核
今中 基晴
1
,
橘 大介
2
1大阪市立大学大学院看護学研究科
2大阪市立大学大学院医学研究科生殖発生発育病態学
pp.989-994
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102747
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梅毒と母子感染
■梅毒とは
梅毒はTreponema pallidumによる感染症で,性感染症の代表的疾患である.通常,Treponema pallidumが皮膚や粘膜の小さな傷から侵入して感染し,ついで血行性に全身に散布されて,全身のさまざまな症状を呈する慢性感染症である.臨床像が妊娠によって変化することはない.
梅毒は先天梅毒と後天梅毒に分類される.また,症状を認める顕症梅毒と,梅毒血清反応は陽性であるが症状が認められない無症候梅毒(潜伏梅毒)に分けられる.顕症梅毒は第1期梅毒,第2期梅毒,第3期梅毒,第4期梅毒に分類され,それぞれ特徴的な臨床像を示す.現在では,第3期梅毒,第4期梅毒はまれである.無症候梅毒は,(1)初感染後全く臨床症状を呈さない場合,(2)第1期から第2期への移行期,(3)第2期の発疹消退期,(4)陳旧性梅毒などの場合がある1).陳旧性梅毒は感染後長時間経過し,すでに治癒し感染性のないもので,治療を要しない状態をいう.陳旧性梅毒以外は無症候でも治療が必要である.
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