今月の臨床 母子感染─新しい制御戦略
胎内感染のリスクと対策
1.トキソプラズマ
牧野 康男
1
,
松田 義雄
2
1東京女子医科大学産婦人科学教室
2東京女子医科大学母子総合医療センター
pp.986-988
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102746
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トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は胞子虫網,真コクシジウム目,サルコシスティス科に属する原虫であり,ネコ科動物を終宿主とし,ヒトを含む哺乳動物や鳥類などの恒温動物を中間宿主とする人畜共通寄生虫の1つである1, 2).
トキソプラズマ感染時の臨床症状は,頸部リンパ節腫脹,易疲労感,発熱や咽頭痛など非特異的なもので,しばしば無症状の場合もある3).妊娠中にトキソプラズマが初感染した場合,15~45%に先天性感染が生じ,そのうち,約90%が顕性となり,新生児に水頭症,脈絡網膜炎,精神運動障害などの症状が生じる2, 3).本稿では,トキソプラズマの疫学,感染経路,診断ならびに治療などについて述べる.
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