今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
思春期
7.低身長(小人症)
堀川 玲子
1
1国立成育医療研究センター内分泌代謝科
pp.338-343
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102613
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1 概 念
低身長は,同年齢児の標準に比しどのくらい身長が低いほうに偏倚しているかによって定義される.10年ごとに厚生労働省と文部科学省で発表される性別年齢別身長体重の全国統計における年齢別平均と標準偏差(SD)から,-2 SD未満の身長の場合を「低身長」と考える.-2 SDは2.3パーセンタイルに相当するため,小児人口の約2.3%の子供,すなわち100人に2人程度は低身長ということになる.このうち,高度の低身長や基礎疾患が明らかで,診療対象となるものを「低身長症」とし,低身長全体の約5%程度がこれに当たると考えられる.身長は,多因子によって規定されるが,80%は遺伝的要因によるが,残りの20%を規定する因子の異常により,重度の低身長から軽度の低身長まで,さまざまな成長障害をきたすことになる.最も多いのは体質性低身長および家族性低身長で,治療の対象とならない場合がほとんどである.
乳児期早期は,成長ホルモンが不足していても栄養が十分であれば標準の成長をたどる.先天性遺伝性成長ホルモン欠損症では生後早期から成長障害が明らかとなるが,最も頻度の高い特発性成長ホルモン欠損症では,重症型でも身長-2 SDを下回るのは5歳ごろから,中等症では平均7歳ごろから下回る.
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