Japanese
English
特集 外科診療上知っておきたい新たな予後予測因子・スコア
〔癌における新たな予後予測因子〕
膵癌切除例における予後規定因子
Prognostic factors in resected pancreatic adenocarcinoma
阿部 展次
1
,
杉山 政則
1
,
鈴木 裕
1
,
柳田 修
1
,
正木 忠彦
1
,
森 俊幸
1
,
跡見 裕
1
Nobutsugu ABE
1
1杏林大学医学部外科
キーワード:
膵癌
,
予後因子
,
予後予測因子
Keyword:
膵癌
,
予後因子
,
予後予測因子
pp.31-35
発行日 2009年1月20日
Published Date 2009/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102430
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨:最近の膵癌切除例における予後因子に関する報告を血液マーカー,治療因子,臨床病理学的因子,分子マーカーに分けてレビューした.血液マーカーでは血小板数-リンパ球数の比率(platelet-lymphocyte ratio:P/L ratio)とCA19-9値が予後因子として重要であり,高P/L ratio,高CA19-9値はそれぞれ独立した予後不良因子と報告されている.治療因子では,術後補助療法の付加が予後を改善させ得る最も重要な因子である.R0切除の有無と予後との関連に関しては結論が出ていない.また,(1)術後に主要合併症があること,(2)非teaching hospitalでの手術,(3)3単位以上の輸血は独立した予後不良因子とする報告がある.臨床病理学的因子では,最近の多数例での検討から,年齢,腫瘍径,組織型,郭清リンパ節個数,腫瘍存在部位,リンパ節転移の有無,静脈侵襲の有無などが独立した予後因子として報告されている.また,検索リンパ節個数,lymph node ratio(転移個数/検索個数),腫瘍存在部位,傍大動脈リンパ節転移の有無,リンパ節微小転移の有無,門脈浸潤度,膵切離断端におけるK-ras変異の有無なども予後因子として有望であろう.分子マーカーではp16,MMP7,VEGFなどが予後因子として臨床に応用できることが示唆されている.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.