今月の臨床 低用量OCの普及をめざして
OCの効用
1.思春期の月経異常
甲村 弘子
1
1大阪樟蔭女子大学大学院人間科学研究科人間栄養学専攻
pp.1542-1545
発行日 2010年11月10日
Published Date 2010/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102505
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はじめに
低用量経口避妊薬(oral contraceptives : OC)は世界で広く用いられ,女性のQOLを向上させることが高く評価されている.OCが女性の生活改善薬とされる点は以下の3点に集約される.
(1)高い避妊効果を有していること
(2)月経に関する愁訴を改善すること
(3)いくつかの疾患の予防に役立つこと
このうちの(2),(3)がOCの副効用といわれているものである.わが国ではOCの普及率が欧米諸国に比べてきわめて低く,今後生活改善薬としてのOCを普及させるには,避妊を目的として使用することばかりでなく,上に挙げた(2),(3)の目的でさらに用いられるようになることが望まれる.すなわち性成熟期の年代の女性ばかりでなく,中学生,高校生など思春期の女性,40代から閉経前までの年代の女性を含んだ幅広い年代に対してどのようにアプローチしていくかが課題である.特に思春期の年代でのOCの使用経験は,それに続く避妊目的でのOCの使用につながっていくため重要視されるべきであろう.
本稿では,このような視点から思春期の年代の月経に関する愁訴に対し,OCを利用して対処できる諸問題について概説する.
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