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はじめに
欧米に遅れること約40年,1999年9月に低用量経口避妊薬(oral contraceptives : OC)がわが国でも処方可能となった.以前から数種類の高用量・中用量ピルが避妊として使われていたが,本来は月経困難症や卵巣機能不全などの適応症を持った治療薬として認可されていたものである.わが国の女性は40年近くにわたってホルモン量の多い薬剤を避妊に用いていたことになる.より副作用の少ないOCの認可によりわが国でも普及が急速に進むのではという期待もあったが,そのスピードはあまりにも緩徐である.この原因を一元的に語ることはできないが,1999年のOC認可に伴って日本産科婦人科学会を含めた関係6団体によって「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」が作成されたが,ここに掲載された処方に際して推奨される検査項目の内容と多さが,OC普及のブレーキになったことは確かなことであろう.このガイドラインが2005年12月に改訂され,日本産科婦人科学会雑誌2006年3月号に全文が掲載された1).改訂版の内容をみると,OC処方前の多岐にわたる検査項目が削除され,問診と血圧測定を必須としたこと,現時点でのエビデンスに基づいた解説と,WHOのOC処方基準を重視したものとなっている.まさに待望の改訂であり,OC普及につながるものと期待されたが,2007年の国連報告では普及率トップのドイツの52.6%はいうに及ばず,北朝鮮の3.7%に比べてもはるかに低い1.1%にとどまっている.
OC情報センター(http://www.pill-ocic.net/index.html)の報告では毎年服用者数は増加しているものの,発売後10年に当たる2009年時点での服用者数は約66万人程度(2~3%)と推定されている.ガイドラインの改訂が意味するところを今一度,産婦人科医自身が理解し,その主旨を女性に伝えることがOC普及にとって最も重要なことである.改訂の基本方針と具体的な改訂のポイントを表1に示し2),それぞれの意味するところについて述べる.
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