特集 検証 平成18年診療報酬改定
【診療報酬改定の影響】
日本精神科病院協会による改定の影響調査結果
平川 淳一
1,2
1医療法人社団光生会平川病院
2日本精神科病院協会医療経済委員
pp.981-986
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100425
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■精神科の現状
精神科においては精神科病院での看護職員確保は困難であり,当分の間,医療法上,4:1配置の80%の基準である5:1までは標欠とはしないということで合意した経緯がある.しかし,今回の改定では医療法上合法である5:1まで,「特別入院基本料」すなわち4:1未満として一括りとし,廃止する方向が示された.看護職員数は10年前と比較して増えているにもかかわらず(図1),その努力をまったく無視した改定である.また,日本精神科病院協会(以下,日精協)会員名簿調査の比較においても,平成17年4月(表1-1)で,4:1未満の病院が1,216病院中,193病院であったのに対して,平成18年4月(表1-2)では,特別入院基本料算定病院が1,214病院中83病院と減少していることがわかり,日精協会員の努力が窺える.
精神科の低医療費は16年改定でも改善が必要な重要課題とされたが,マイナス改定の中,この低医療費を改善するには至らなかった.精神科病院の多くは,包括払いである急性期治療病棟や精神療養病棟1(精療1)への転換を行い,各自運営コスト削減によって病院を存続してきた.断っておくが,この精神療養病棟は医療法に規定される内科療養病棟とはまったく異なるもので,診療報酬上で機能分化した精神病棟である.名前に同じ「療養病棟」がつくため混同されるが,まったく意味の異なる病棟であることを改めて記しておく.
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