特集 医療費改定の分析と批判
医療費改定の医療に及ぼす影響
西村 周三
1
1横浜国立大学経済学部
pp.472-475
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206561
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51年4月以来,ほぼ2年ぶりに行われた本年2月の診療報酬改定は,不況下,低成長という経済情勢のもとで,医療施設平均では,9.6%の引き上げにとどまった.これに対する医療関係者の不満は多い.たとえば,今回の改定にあたって算定の根拠となった数値は,51年4月からの22か月を対象とするはずであるにもかかわらず,19か月でなされている.この点はおそらく医療関係者に納得のいかないものであろう.
しかしながら,現在の経済情勢からみると,このような点もある程度やむをえないものであろう.なぜなら,日本経済は,オイル・ショック以来,戦後ではかつてない不況を経験しているからであり,しかも日本経済の転換期にあって,医療のあり方も再検討が迫られているからである.現時点における不況は,近い将来脱することが見込まれるにしても,今後の日本経済がかつてのような高度経済成長に戻ることは考えられない.経済のあらゆる分野で,これまでの経営のあり方の見直しが迫られており,病院や診療所の経営にとっても例外とはなりえない.
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