今月の臨床 産婦人科画像診断のセカンドチョイス
婦人科画像診断─どこまで可能か
11.婦人科領域の転移性腫瘍
長谷川 清志
1
,
鳥居 裕
1
,
加藤 利奈
1
,
宇田川 康博
1
1藤田保健衛生大学医学部産婦人科
pp.1013-1019
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102413
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
婦人科臓器以外からの転移性腫瘍は卵巣が最も多く(86.5%),さらに少ないながら子宮体部(3.8%),腟(5.8%),外陰(2%),子宮頸部(3.4%)への転移も報告されている1).
転移性卵巣腫瘍の38%は原発巣より先に発見され,特に胃癌,大腸癌に多いとの報告もある.転移性卵巣腫瘍と原発性卵巣癌は治療指針が根本的に異なり,侵襲の大きな手術,化学療法(あるいは放射線療法)を避けるためには両者の鑑別はきわめて重要であるが,鑑別困難なことも多く,摘出後の病理組織診断により判断せざるを得ないこともしばしば経験される.さらに,病理組織学的検索でも原発か転移か,転移であった場合の原発巣はどこなのか診断に難渋するケースにも遭遇することがあり,臨床医のジレンマの1つともいえる.本稿では転移性卵巣腫瘍の臨床的特徴および画像所見に関して概説する.また,転移性子宮腫瘍もきわめて稀ではあるがときに経験されるため,その特徴に関しても略述する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.