今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期
[子宮と母体血管の超音波検査]
3.子宮頸管長の計測とその意義
大槻 克文
1
,
大場 智洋
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学病院総合周産期母子医療センター産科部門
pp.733-737
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102366
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頸管長短縮と早産
早産の原因の1つである頸管無力症は『妊娠中期以降に切迫流早産徴候を自覚しないにもかかわらず子宮口が開大し胎胞が形成されてくる状態』と定義され,先天性のものもあり,また頸管裂傷などの外傷性,そのほかに起因する例もあるといわれている.発症頻度は1%以下であるが,高率に早産につながること,無症候性であること,また頸管開大がみられてからでは早産に対する的確な治療の機を逸してしまうことから,その前に頸管の状態を評価することの意義は大きい.内診と比較して経腟超音波による所見は客観性に優れ,なおかつ早期診断につながることが証明されている1).
一般に正常妊婦の頸管長は妊娠初期から中期で約40mm,32週以降では25~30mmに短縮する2).妊娠24週で頸管長が30mm以下,26mm以下に短縮したとき,35週未満の早産のオッズ比がそれぞれ3.79,6.19に上昇するという論文が1996年にIamsら3)によって出された.それ以来,頸管長短縮と早産との関連についての論文が多数報告されてきた4)(図1,表1).
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