今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期
[胎児の正常超音波像と形態異常]
1.頭頸部の超音波像―脳・顔面など
藤森 敬也
1
,
安田 俊
1
,
高橋 秀憲
1
1福島県立医科大学医学部産婦人科学教室
pp.567-579
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102341
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■胎児異常スクリーニング(表1)
超音波検査による胎児異常スクリーニングは,通常,胎児計測を行いながら行われる.頭部は大横径(biparietal diameter : BPD)を計測するときに,大きさとともに,その形状,mid-line shiftの有無,側脳室三角部(atrium)が10mm以上といった脳室拡大を示唆する所見,小脳の大きさや形状,後頭蓋窩の拡大や嚢胞性病変などの有無を確認する.また,顔面は口唇裂がないことなどを確認する.
■胎児MRI(magnetic resonance imaging)
胎児MRIとくに中枢神経系疾患における胎児MRIの有用性はほぼ確立している.画像が直感的に理解しやすく,また検者の技量に依存しないため,客観的な評価を得やすい.原則的に妊娠18週以降に行うことが望ましく,ガドリウムによる造影は行わない.ガドリニウムは胎盤を通過し尿中に排出され,胎児はそれを嚥下するという循環に陥り,腎性全身性線維症(nephrogenic systemic fibrosis)が理論的には起こりえる可能性がある1).
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.