今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
IV 産科における超音波診断─妊娠中・後期
[胎児の正常超音波像と形態異常]
2.胸部の超音波像─心臓―効率的な胎児心スクリーニングをめざして
川滝 元良
1
1神奈川県立こども医療センター新生児科
pp.580-593
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102342
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
胎児診断の現状と課題
左心低形成症候群(hypoplastic left heart syndrome : HLHS),完全大血管転位症(transposition of the great arteries : TGA),総肺静脈環流異常(total anomalous pulmonary venous drainage : TAPVD)などの重症心疾患の治療成績は近年急速に向上している.ショック状態や高度の低酸素状態を回避し良好な全身状態で外科治療を可能にする胎児診断の意義はますます高くなっている.当院での最新のデータによると,重症心疾患の40%以上(図1),新生児期手術症例の50%以上が胎児診断されている(図2).胎児診断はいまや重症心疾患の治療体系のなかで欠くことのできない重要な一翼を担っている.しかしながら,新生児開心術の1位,2位を占めるTGAとTAPVDは今の妊婦検診ではほとんどスクリーニングされていない.今後の課題である(図3).
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.