今月の臨床 これを読めばすべてわかる―最新の産婦人科超音波診断
II 婦人科領域における超音波診断
[その他の骨盤病変,他領域疾患との鑑別]
1.Urogynecologyへの応用
小林 浩一
1
,
坂巻 健
1
1社会保険中央総合病院産婦人科
pp.470-473
発行日 2010年4月10日
Published Date 2010/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102325
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性器脱と尿失禁,中でも腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence : SUI)は妊娠・分娩と加齢が大きな要因となることが知られている.腹圧性尿失禁の病態は尿道の過可動と,内尿道括約筋不全に大きく分類されている(表1)1).通常の経腹走査用のプローブを会陰,あるいは陰唇の間に装置し,患者に腹圧をかけてもらうと尿道の可動性や,内尿道括約筋の様子は直接観察することができる.これにより,尿失禁のリスク評価を行うことができ,また性器脱の手術症例では,術後の状態の評価にも用いることができる.
これまで尿失禁の検査法としては理学的検査としての腹圧ストレステスト,24時間や60分のパッドテスト,排尿日誌,Q tip testなどが知られており,また精密検査としては尿流動態検査により尿流測定や残尿測定,膀胱内圧測定やabdominal leak point pressure(ALPP)の測定などが行われてきた.膀胱内圧測定において膀胱の不随意の収縮が検出されれば切迫性尿失禁の存在を客観的に示すことになり,腹圧性尿失禁において尿道の過可動と内尿道括約筋不全という2つの病態の鑑別,および尿道抵抗低下の程度の評価にALPPが有用とされている2).
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