特集 臨床神経生理学的検査の進歩
Ⅱ 筋電図
4.表面筋電図の応用
1)臨床応用
柳沢 信夫
1
1信州大学第三内科
pp.1365-1371
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911400
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表面筋電図の意義
同心型針電極を用いた針筋電図が二次ニューロン以下,すなわち脊髄(延髄)運動細胞,末稍神経,筋の異常を明らかにする目的で行われるのに対して,表面電極を用いた表面筋電図は中枢神経障害による不随意運動や筋緊張異常などの運動障害を明らかにする目的で行われる.表面筋電図は,運動神経系の最終共通路である脊髄運動細胞の興奮を直接反映するものとして意義があり,運動障害の内容も明らかにするために多数筋を同時に記録するのが良い.
そのようにして行う表面筋電図記録は以下のような利点を持つ.①機能単位としての筋の活動全体を反映する.得られる記録は,多数の運動単位が種々の頻度で発射した干渉波形であるが,その活動電位を電気的に積分した値は,一定範囲でその筋収縮によって発生する張力に比例する1,2).②複雑な運動を個々の筋収縮に分解して継時的に記録できる.これにより各病態の特徴を明らかにし,診断に役立てることができる.③肉眼的観察では把握することが困難な広範囲にわたる多数筋を同時記録できる.④客観的記録として保存,検討できる.⑤被験者への侵襲がほとんどない.また針電極の使用に伴う消毒の必要がない.
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