今月の臨床 子宮頸がんの予防戦略―ワクチンと検診
HPVワクチン─確実な予防効果
5.内科医,小児科医にも知って欲しい子宮頸がん検診とHPVの基礎知識
鈴木 光明
1
,
藤原 寛行
1
,
竹井 裕二
1
1自治医科大学医学部産科婦人科学講座
pp.268-275
発行日 2010年3月10日
Published Date 2010/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102291
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はじめに
子宮頸がんは早期発見が可能ながんであることは広く知られている.早期診断には細胞診が有用であり,わが国においては1960年代からこれを用いた行政による子宮頸がん検診がスタートし,1983年施行の老人保健法により制度化され,集団検診が全国的に展開されるようになった.また,1980年代には子宮頸がんの発症にヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)の感染が関与していることが明らかとなった1).その後,2000年初頭にはハイリスク型HPVの感染を予防するワクチンが開発され,2つの製薬企業によって製品化され,2006年から世界各国で広く接種されるようになった.予防ワクチンの登場により,子宮頸がんは一次予防が可能となり,細胞診を用いたがん検診による二次予防と二本柱が完成し,今や「子宮頸がんは予防できるがん」となった.産婦人科医だけでなく,他科の医師にも子宮がん検診とHPVについて理解を深めていただくことを目的に解説する.
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