症例
卵巣原発扁平上皮癌の1例
澤崎 隆
1
,
大和 幸子
2
,
占部 武
3
1独立行政法人労働者健康福祉機構中国労災病院産婦人科
2広島大学大学院医歯薬学総合研究科産科婦人科学教室
3県立広島病院産婦人科
pp.221-223
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102284
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きわめて稀な卵巣原発扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.
症例は59歳.2007年2月,下肢浮腫を主訴に近医受診し,精査目的で4月末に紹介となった.腫瘍マーカーはSCCが上昇しており,CT,MRIで大動脈左側~左総腸骨動脈周囲のリンパ節腫大,左水腎水尿管症を認め,子宮左側に5cm大の腫瘤を認めた.卵巣悪性腫瘍の疑いで,開腹術を施行した.
腫瘍は子宮および骨盤壁に強固に癒着しており,また腫大したリンパ節が左尿管を巻き込んでいた.左卵巣,腫大した左総腸骨リンパ節を切除し病理組織学的検討を行った結果,卵巣原発扁平上皮癌と診断した.切除標本中には奇形腫,Brenner腫瘍,あるいは類内膜腺癌の腫瘍成分は認められなかった.
十分なインフォームド・コンセントののち,化学療法放射線療法同時併用療法(ネダプラチン20mg/m2/週+全骨盤照射50.4Gy)を施行した.治療は奏効し,現在まで再発徴候なく経過観察中である.
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