今月の臨床 生殖医療のトピックス
配偶子提供の現状
石原 理
1
,
岡垣 竜吾
1
,
梶原 健
1
,
出口 顯
2
1埼玉医科大学産婦人科
2島根大学法文学部文化人類学
pp.1415-1421
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102216
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はじめに
第三者に由来する配偶子を利用する不妊治療には,提供された精子を用いる治療と提供された卵子を用いる治療がある.これらのうち,提供精子を用いる治療については,非配偶者間人工授精(AID,DI)として,少なくとも1940年代から世界の各地で行われていた実績がある.一方,提供卵子を用いる治療は,1978年にルイーズ・ブラウンが体外受精の結果として出生した後,早くも1985年に臨床応用された.
本稿では,海外における提供配偶子を用いた治療の現状を報告するとともに,今後,日本において提供配偶子を用いる生殖医療(ART)を行う場合に生ずる問題点と,必要とする対応について述べる.なお,提供配偶子を用いるARTの歴史的な変遷と諸外国・地域における個別的な情報については,筆者らが1999年から現在まで継続している北欧および英国を対象とした地域調査研究に基づいてこれまで報告した,ほかの関連論文1~8)を,併せてご参照いただければ幸いである.
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