今月の臨床 生殖医療とバイオエシックス
体外受精
1.配偶子・胚の提供
吉村 泰典
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.1024-1027
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903734
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1998年6月,わが国でも実弟の精子および実妹の卵子を用いた体外受精が行われ,子供が生まれていたことが明らかとなり,議論を呼んでいる.本邦では体外受精をはじめとする生殖補助技術(ART)を規制する法律はないが,日本産科婦人科学会が会告によって体外受精の適用を夫婦間に限っている.一方,従来より行われていた非配偶者間人工授精(AID)は,1996年に出された会告により追認の形とはいえ,他に方法のない婚姻した夫婦に限って承認されている.ドナーの精子を用いた人工授精が許可されているのに,ドナーの精子や卵を用いた体外受精がなぜ許されないのかが,改めて問題となっている.本稿では,配偶子・胚の提供による体外受精の方法論ならびにその倫理的諸問題について概説する.
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