今月の臨床 胎児の診断と治療―最近のトピックス
【診断の最前線】
3.血流計測による貧血の診断
三原 卓志
1
,
奥田 美加
1
,
高橋 恒男
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター
pp.911-915
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102132
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はじめに
胎児貧血は,重症例においては胎児水腫や子宮内胎児死亡をきたす重要な疾患である.本症の原因には,血液型不適合妊娠における胎児の溶血性貧血が有名であるが,そのほかにパルボウイルスB19を代表とするウイルス感染,遺伝性代謝異常症あるいは白血病類縁疾患などさまざまな報告がある1)(表1).適切な胎児治療あるいは新生児治療への移行のため,原因の特定はもとより,貧血の程度を正確に診断することが重要である.胎児貧血の診断法としてはこれまで,臍帯穿刺による胎児ヘモグロビン量の測定,あるいは羊水穿刺を用いた羊水中ビリルビン様物質の測定が行われてきた.これらの方法は侵襲性が高く,低侵襲で特異性の高い診断方法の開発が期待されていた.近年では,胎児中大脳動脈血流速度計測が,非侵襲性の検査として胎児貧血の診断のスタンダードになりつつあり,それらについて自験例とともに解説する.
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