けんさアラカルト
足の裏の血流計測
嶋津 秀昭
1
1杏林大学保健学部生理学教室
pp.1032
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903269
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最近,日ごろの研究テーマとは無関係に,足の裏の血流測定を2つのテレビ局から依頼された.それぞれつま先部分の血流測定,かかと部分の測定であり,測定結果として放送局側の期待するものとはまったく相反するものであった.つま先部分の血流測定は,ハイヒールの靴がいかに足に負担をかけるものであるかを血行動態として観測する目的で行った.これに対して,かかとの測定はフラットな靴底が“かかと”の血流に対しては必ずしも適当とはいえず,これが寒冷期のひび割れなどにも関与するという結論を導くためのものであった.足の裏の血流には重力の影響や,接地面にかかる体重による圧力が作用するので,仰臥位での値と立位や座位での値には当然大きな差があり,できるだけ自然な姿勢で測定することが必要となる.
筆者らは,すでにレーザードップラー血流計を基本とした測定システムを,さまざまな姿勢の下で複雑な表面形状を持つ体表面での血流を安定に測定する方法として開発している.図1は測定システムの概要である.この血流計は経皮的にレーザー光を照射する.入射光は皮下の真皮層の血管系で反射する.反射光に観測されるドップラー効果による周波数変化から当該部位の流速を求め,これと同時に計測した反射光量から測定部容積を算出し,両者から組織血流量を求める方法である.
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