今月の臨床 胎児の診断と治療―最近のトピックス
【診断の最前線】
4.中枢神経系診断の最前線―神経遊走異常・髄質血管の診断
夫 律子
1
1クリフム夫律子マタニティクリニック臨床胎児医学研究所
pp.917-923
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102133
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はじめに
胎児期における中枢神経系の発達は目覚ましく,妊娠初期の未熟脳と妊娠末期のある程度成熟した脳とではまったく違ってくる.このなかで,いわゆる中枢神経系奇形と呼ばれるものは胎生早期の異常であり,これまで多くの異常が胎児期に診断可能となってきた.しかし,脳奇形の多くが神経遊走(migration)と密接に関係しているといわれており1),現在,胎児中枢神経系診断の最前線では,「神経遊走異常(migration disorder)」に注目している.数年前にはあまり注目していなかった胎児脳の皮質形成異常などが,現在の最先端超音波機器や胎児MRIによりかなり正確にわかるようになってきたのである.また,脳内の髄質血管の異常が解明されつつあり,筆者の施設ではこの血管異常と神経遊走異常に着目している.本稿ではこれらの最前線の中枢神経系診断の一部を紹介する.
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