今月の主題 レーザーと臨床検査
技術解説
レーザー・Doppler血流計測
梶谷 文彦
1
,
三戸 惠一郎
1
,
小笠原 康夫
1
,
平松 修
1
,
辻岡 克彦
1
,
友永 轟
1
Fumihiko KAJIYA
1
,
Keiichiro MITO
1
,
Yasuo OGASAWARA
1
,
Osamu HIRAMATSU
1
,
Katsuhiko TSUJIOKA
1
,
Go TOMONAGA
1
1川崎医科大学医用工学・システム循環器学教室
pp.977-984
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911965
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一般に電磁波や音波などの波の振動源と観測点が相対運動を行っているとき,観測される波の周波数は元の振動源のそれとは異なったものとなる.この現象は"Doppler効果"として広く知られているものである.レーザー・Doppler流速計(Laser Doppler Velocimeter;LDV)も,原理的にこのDoppler効果を利用したもので,測定対象にレーザー光を照射し,それから散乱された散乱光のDoppler周波数から対象物の速度を求めるものである.歴史的にみると,光のDoppler効果は,恒星が発する光の赤方偏位などで知られていたが,流速計としての応用は従来の光源からは周波数および位相がそろった光が得られなかったため,アイディアの域を脱することができなかった.
しかし,1960年MaimanやJavanらによってレーザーが開発されたことから,その可能性が開かれた.レーザー光の特徴は,鋭い指向性を持ち,単一周波数であることである.このため光のDoppler信号を得ることが可能となり,1964年Yeh, Cummins1)らによってLDVが初めて開発された.
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