今月の臨床 HRTの新ガイドラインを読み解く
【HRTの適応】
2.更年期の「うつ」
髙松 潔
1
,
小川 真里子
1
,
大藏 健義
2
1東京歯科大学市川総合病院産婦人科
2獨協医科大学
pp.811-816
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102115
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はじめに
「うつ」という言葉は,基本的に抑うつ気分,抑うつ症状,うつ状態,うつ病すべてを包含する広範な概念である1).うつが女性に多いことはよく知られており,典型的なうつ病である大うつ病性障害では日本における生涯有病率は6.16%,男女別では男性3.84%,女性8.44%と女性の有病率は約2倍高い2).有病率のピークはホルモン変動の大きい月経前期,分娩後,そして更年期の3つの時期であるといわれており3),更年期女性への対応時には常に念頭においていなければいけない病態である.
更年期のうつは,更年期症状としての抑うつ気分あるいは抑うつ症状と,抑うつ気分以外にも多くの精神・身体症状を有するうつ病とに分けられるが,更年期に生じる症状の主たる要因はエストロゲンの消退,つまりホルモン変化であることには言を俟たない.そのため更年期の抑うつ症状やうつ病に消退したホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)を考慮することは理に適っていると考えられる.
そこで本稿では更年期の抑うつ気分や抑うつ症状,うつ病に対するHRTの効果について概説する.
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