今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
更年期・老年期
2.更年期のうつ
後山 尚久
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1大阪医科大学健康科学クリニック未病科学・健康生成医学寄付講座
pp.531-535
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102644
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女性をライフサイクルから眺めると,閉経周辺期はさまざまな身体内外環境の変動,老年期の入り口であるという心理的行動(基本的には退行的,守備的)を基本として,現実的な多様なストレスへの認知や処理の方向性に歪みが生じ,心身への大きな影響が不定愁訴の形で表在化する.症例によっては各種の精神障害の発生もみられる1).閉経についてnegativeな姿勢の更年期女性はpositiveな姿勢の女性の約1.4倍存在し,そのような女性は抑うつ気分や不安定な情緒,焦燥感などの精神症状を起こしやすいことが報告されている2).更年期女性の不定愁訴は,一般には更年期障害として扱われることが多いが,ホルモン変動の度合や社会的立場の違い,個人的な気晴し手段(Coping style)の有無によって重症度はさまざまであるといわれる3).重症例には,抑うつ気分がきわめて強いものもあり,うつ病との鑑別診断が必要となる.
本稿では,更年期女性のうつ病,うつ状態の診療に際し,その対処,治療の実際面に関して解説する.
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