今月の臨床 ホルモン補充療法を再考する
HRTの適応を再考する
2.更年期とうつ
那須 未生
1
,
中野 弘一
2
1東邦大学医学部心身医学講座
2東邦大学医学部卒後臨床研修/生涯教育センター
pp.787-789
発行日 2003年6月10日
Published Date 2003/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100899
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
更年期にみられる不定愁訴は,卵巣機能の低下による低エストロゲン状態がもらたす自律神経失調症状のほかに,その患者の生活環境やストレス,本人の性格に依存した心理的要素が相互に作用して多彩な症状を引き起こしている.更年期に訴える意欲の低下や抑うつ気分,不眠,易疲労感などは,うつ病においても認められる精神症状であり,実際に婦人科臨床医を悩ませるケースも少なくない.しかしその鑑別診断や薬物投与の有効性を追及する意義そのものよりも,いかに治療者がその患者個人を身体的問題だけでなく,心理・社会的問題まで抽出して多次元で評価できるか,そこに更年期の不定愁訴に対する治療として,ある到達点を見いだせることを示唆したい.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.