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良好胚を移植しているにもかかわらず,妊娠に至らない反復不成功例が存在する.いわゆる着床不全であり,よい対策がなく苦慮しているのが現状である.現在までにこのような着床不全に対して考えられた方法は,胚を卵管に移植する受精卵卵管内移植法(zygote intrafallopian transfer:ZIFT),アシステッドハッチング,胚移植時にフィブリン糊やヒアルロン酸の使用,子宮内膜への機械的刺激,二段階胚移植法,子宮内膜刺激胚移植法(stimulation of endometrium embryo transfer:SEET)などである.
着床現象は胚と子宮内膜のクロストーク(相互応答)により成立すると考えられている.胚が子宮内膜上皮に接着すること,子宮内膜上皮下に浸潤していくことは,種々の接着因子,サイトカインおよびリガンドが関与し,相互的に作用し合って着床過程を進行させる.二段階胚移植は媒精後2日目(day2)に胚移植を行い,さらに5日目(day5)にも得られた胚盤胞を移植する方法である1, 2).はじめに移植された胚が子宮内膜とのクロストークを介して,着床環境としての子宮内膜の形成を修飾する.その結果,その次に移植された胚盤胞の着床率が増加することを期待するものである.また,子宮内膜の胚受容能の観点から考えると,胚受容能が最も高くなる時期(implantation window)については十分に把握されていないのが現状で,良好胚を移植しても妊娠に至らないことが繰り返し起こる場合には,子宮内膜の胚受容能が良好な時期に移植していないことが考えられる.そのような場合にも,二段階胚移植は有効と考えられる.
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