今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 D生殖補助医療(ART)
【胚移植】
78.子宮内膜刺激胚移植法について教えてください.
栁田 薫
1
1国際医療福祉大学病院リプロダクションセンター
pp.580-581
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102067
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[1]はじめに
子宮内膜刺激胚移植法(stimulation of endometrium embryo transfer:SEET)は,2007年にGotoら1, 2)によって発表された胚移植法である.胚は着床までの間,子宮側の胚受容能を発現させる,あるいは高める胚因子を産生していると考えられている.通常のday2やday3での胚移植法では,移植後に初期胚から胚盤胞まで発生する間,子宮内に胚因子が作用していることが考えられる.現在,成績の向上を目指した方法に胚盤胞移植があるが,実地臨床での胚盤胞移植の成績はせいぜい40%を超える程度で,良好胚を選別している割には顕著な有効性を示しているとはいい難いのが現状である.しかし,胚盤胞移植では子宮内膜への情報提供がない状態で,いきなり胚盤胞期胚が移植されていることになり,ここに問題点がある可能性がある.そこで,胚の培養液上清の少量を胚移植の前に子宮内に注入しておく方法が考えられた.
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