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ツベルクリン反応検査とBCG
ツベルクリン反応は遅延型過敏反応により,結核菌由来の抗原に対する細胞性免疫の程度を評価する検査である.1890年にコッホによって報告されたツベルクリンは,ヒト型結核菌を培養した液体培地をろ過して滅菌,濃縮した原液を2,000倍に希釈したものであった.これから結核菌の代謝産物や菌体成分を除いたタンパク成分を精製したものが,現在使用されているPurined proteinderivative(PPD)である1).ツベルクリン検査では,PPDを皮内に0.1ml注射し48時間後に発赤の長径を計測する.ツベルクリン反応の陽性と陰性については,改正結核予防法施行規則第2条により表1のように定められている.ツベルクリン反応陽性者は,BCG未接種者では結核菌由来タンパクに曝露された可能性があり,近くに排菌者が存在する場合は結核の感染が心配される.結核菌に感染した場合は,ツベルクリン反応が陽転するまで4〜10週かかる.また,陰性者は結核菌に対する細胞性免疫機構が活性化されていないと判断され,ワクチンの接種が考慮される.結核に対するワクチンがBCGである.
BCGはパスツール研究所でカルメットとゲランが1908年から1920年にかけて230代にわたり培養したウシ型結核菌に由来する.カルメットとゲランの名前を冠してBacille de Calmette etGuerin(BCG)と呼ばれている1).BCGは生菌でなければ免疫ができない.BCGの効果がある間にヒト型結核菌に感染すると,発病が抑制されながら強い免疫が誘導される.日本ではBCG接種率は高いが,30歳未満の人口の90%以上が結核に未感染であると報告されている2)
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