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遺伝子組換え型トロンボモジュリン
広沢 信作
1
1東京医科歯科大学医学部第一内科
pp.28
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903065
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トロンボモジュリン(thrombomodulin;TM)は,血管内皮細胞上に存在するトロンビン受容体である.トロンビンの活性を阻害するとともに,プロテインCの活性化を促進する.活性化プロテインCは,活性化血液凝固第Ⅴ,Ⅷ因子を不活化する.TMは血漿中にも検出され,可溶性TMと呼ばれている.遺伝子組換え技術により細胞内と膜ドメインを欠いて,細胞外のドメインのみを有するTM遺伝子が作製されている.TMを含むベクターをCHO細胞に導入して,発現させ,培養上清から遺伝子組換え型のTMを精製している.トロンビンとの結合に必要な領域は,EGF様ドメインの4,5,6番目であり,この部分は含んでいる.液相のトロンビンと結合してプロテインCを活性化させる.また,結合したトロンビンをアンチトロンビン-Ⅲに渡した後,TMは再利用される.投与後の血漿中の半減期T1/2αは約4時間,T1/2βは約20時間である.遺伝子組換え型TMが播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascularcoagulation;DIC)を中心に,現在臨床治験が行われており,白血病などのDICに良い効果が確認されてきている.
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