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[1]治療の概要
Two cell/two gonadotropin説に示されるように,FSHとLHは協調して性腺である卵巣の顆粒膜細胞と莢膜細胞を刺激し,前胞状卵胞期以降の卵胞発育を制御している.また,低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(hypo─hypo)の患者においてFSHとLHがともに卵胞発育に不可欠であることより,LHはFSHと同様に重要な役割を担っていることに異論をとなえる人はいない.ただ,卵巣刺激をする際,すべての患者にLH添加が必要かというと決してそのようなことはない.Kolibianakisら1)がHum Reprod Update 2007でreviewしているように,まったくLH添加の有用性を否定する報告も多数みうけられる.彼らは内因性のLHで十分と考えている.しかし,臨床の場で個々の患者に対応する場合,LHを添加したほうがよい症例に遭遇することも事実である.どのような症例にLH添加が望ましいかであるが,論文検索や経験からhypo─hypo,高年齢,血中LH濃度(基礎値や卵巣刺激中)の低い患者が対象となり,個人的には約10~20%の症例でLH添加がよい結果をもたらすと考えている.本稿ではゴナドトロピン製剤の使い分けをどのようにしたらよいか,hCG添加の効果,その基礎的裏づけ,血中hCG値と胚クオリティ・継続妊娠率,LH添加が望ましいと考えられる症例と添加量について述べる.表1に示したように,日本で使用可能なゴナドトロピン製剤は尿由来と遺伝子組換えの製剤に分けられる.尿由来の製剤はFSH : LHの比率が3:1と1:1のものと,ほとんど純粋なFSH製剤の3種類がある.遺伝子組換え製剤として1種類使用可能である.また,表22)に示したように,uhMGは製剤によってLHやhCG含量が異なり,それが微妙に胚の質や継続妊娠率に関与する報告もあり,今後検討する必要があると思われる.
生殖医療目的で卵巣刺激をする際,GnRHアゴニストやGnRHアンタゴニストを使用してLH surgeを抑制する.基本的にはuFSHかrFSHを使用する.rFSHのほうがuFSHより生物学的活性が高いので,個人的にはrFSH 150 IUとuFSH 225 IUがほぼ同等の効果があると考えて,投与量を決めている.rFSHで反応がよくない場合や35歳以上の場合に,卵胞期中期からuhMGに切り替えたり,uFSHやrFSHにuhCG 50~100 IU添加したりする場合がある.hypo─hypoの場合に刺激開始からuFSHあるいはrFSHにrLH75 IUを添加するが,高価なため,uhCG50 IUで代用するのが普通である.また,簡便にLHやhCGを含んでいるuhMGを使用することも可能である.タイミング法や人工授精目的で卵巣刺激する場合は単一卵胞発育が目標なので,rFSHやuFSHを少量から開始して漸増する投与が望ましいと思われる.以下に,最近のhCGやLH添加の文献を紹介する.
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