今月の臨床 ここが聞きたい―不妊・不育症診療ベストプラクティス
II 不妊の治療 A女性因子に対する薬物療法
【グルココルチコイド投与法】
38.グルココルチコイドの排卵誘発作用に関するエビデンスはあるのですか.また適応と投与方法(投与薬剤,投与量,投与期間)についても教えてください.
和泉 俊一郎
1
,
村野 孝代
1
1東海大学医学部専門診療学系(産婦人科)
pp.447-449
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102027
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グルココルチコイドの排卵誘発作用に関するエビデンスは,多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)の症例に対し,その有効性が認められている.
PCOSとは卵巣の形態的変化(多嚢胞性変化),内分泌異常(血中LH/FSH比の高値,高アンドロゲン血症)を伴う排卵障害があり,特有の臨床症状(不妊,多毛,肥満,インスリン抵抗性糖尿病)を呈する内分泌疾患である.このPCOSのなかでも極端な男性化徴候を示すものがStein─Leventhal Syndromeとして1935年に報告され,PCOSの概念が整理されるきっかけとなった.また,近年は,PCOSでインスリン抵抗性を認める症例が多く存在することが明らかになり,メタボリック症候群として問題視されている.おそらく背景に存在する内分泌異常は個々の症例によって異なり,現在ではPCOSがすべて同一の病因に起因するものではなくさまざまな病因を反映した疾患群として考えられている.
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