今月の臨床 性感染症up to date
【性感染症への対応と治療】
7.梅毒
谷口 晴記
1
,
田中 浩彦
1
,
伊藤 譲子
1
,
吉田 佳代
1
,
朝倉 徹夫
1
1三重県立総合医療センター産婦人科
pp.170-173
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101964
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はじめに
歴史的には,梅毒の伝播は1493年にコロンブスがアメリカ大陸から持ち帰ってから始まったという一方で,コロンブス以前からすでにスペインやフランスに伝播していたという説もある.いずれにせよ以後ヨーロッパから世界中に蔓延し,モーツアルト,ベートーベンやシューベルトも罹患していたといわれる1).1940年代にペニシリンによる治療が奏効して以来,梅毒の発生は激減した.しかし各国で幾度かの再流行がみられている.近年,HIVの出現により,同じ性行為感染症である梅毒は改めて注目されている.WHOは1999年に全世界で1,200万人の新規梅毒患者の発生を予測しており,その90%以上が開発途上国であるとしている2).日本では1980年代に一時増加がみられたもののその後報告が減少していたが,感染症法の下での感染症発生動向調査によると2007年には,714名の届け出があり再び増加の傾向にあるといえる(図1).
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