今月の臨床 性感染症up to date
【性感染症への対応と治療】
6.淋菌
松本 哲朗
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.166-169
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101963
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)はクラミジア・トラコマティスとともにきわめて重要な性感染症病原体であり,淋菌感染症はいまだに中心的な性感染症である.尿道炎,子宮頸管炎をはじめとして,咽頭,結膜,直腸など広い範囲で感染症を起こし,薬剤耐性菌が増加し,診断・治療上の問題点が指摘されている.厚生労働省が行っている定点調査によると,わが国ではクラミジア感染症も淋菌感染症も2002年から2003年にかけてピークを迎え,その後やや減少傾向にある.
淋菌感染症は,図1に示すように尿道炎・子宮頸管炎をはじめとして,精巣上体炎,前立腺炎,直腸炎,骨盤内感染症(PID),咽頭感染,結膜炎,播種性淋菌感染症などを惹起する.最近の傾向として,尿道炎,子宮頸管炎などの性器の感染症に加え,性器外の感染症が増加している.特に,淋菌の咽頭感染は,オーラルセックスを介する淋菌感染症の増加に大きな役割を演じている.また,淋菌における多剤耐性化は治療薬の減少となり,治療上の問題点になっている.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.