症例
先天性筋強直症(Thomsen病)合併妊娠の1例
井庭 貴浩
1
,
庄司 孝子
2
,
井庭 裕美子
1
,
木内 誠
2
,
北田 文則
1
,
津崎 恒明
2
,
渡部 道雄
1
1大阪府済生会吹田病院産婦人科
2公立八鹿病院産婦人科
pp.1127-1130
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101846
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先天性筋強直症(Thomsen病)は骨格筋のミオトニア現象(筋弛緩の遅延)を特徴とする.妊娠と合併した報告例は少ない.今回われわれは,Thomsen病合併妊娠の1例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.
症例は20歳代,1経妊・1経産の女性.続発性無月経を主訴に初診し,妊娠初期と診断された.妊娠14週時にThomsen病と診断された.以後の妊婦健診では母体のミオトニア現象は増悪傾向であった.妊娠37週で選択的帝王切開術により児を娩出したが術後経過は良好であり,病態の悪化はなかった.過去に同様な症例の報告が少なく,厳重な周産期管理を必要とした.そのなかで,患者観察力や詳細な問診に基づき確実に診断することの重要性が再確認された.Thomsen病は妊娠により増悪したが,産褥期には寛解した.さらには,合併症として弛緩出血を認めたが,その関連は明らかではなく,今後症例を累積し検討する必要があると考えられた.
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