連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・35
淋菌性感染症と卵巣腫瘍が併発した1例
井浦 俊彦
1
,
富田 嘉昌
1
1浅ノ川総合病院産婦人科
pp.1123-1125
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101845
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症 例
患 者 : 23歳,未婚
既往歴 : 特記すべきことなし.
主 訴 : 排尿時痛,性感染症の精査
現病歴 : 数日前から軽度の排尿時痛を感じていた.セックスパートナーが淋菌感染を認めたことから,精査目的にて受診した.帯下の増量や下腹部痛などの症状は認めていない.
〈外来受診時〉
内診所見 : 〔子宮〕前傾前屈,大きさは正常,硬さは正常.〔左付属器〕鶏卵大で軟であり,可動性が少ない.〔右付属器〕腫大なし.〔帯下〕淡黄色,中等量であった.
超音波所見 : 子宮には明らかな異常は認められなかった.左卵巣は6×4.3 cmで単房性に腫大していた(図1).右卵巣は正常であった.
検査所見 : WBC 5,500/μl,Hb 10.8 g/dl,Ht 33.2%,Plt 9万/μl,CRP 0.08 mgであった.
尿検査 : 異常なし.
腫瘍マーカー : CA19─9 13.4 U/ml,CA 125 18.6 U/ml,CA 546 4.5 U/mlといずれも正常であった.
腟培養検査 : Neisseria gonorrhoeae〔淋菌〕(3+),腸球菌(+),クラミジア陰性であった.
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