今月の臨床 妊婦の感染症
妊婦の感染─胎児への影響と対策
2. B群溶連菌
牧野 康男
1
,
松田 義雄
1
,
太田 博明
1
1東京女子医科大学産婦人科学教室
pp.831-833
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101791
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
B群溶血性連鎖球菌(Group B Streptococcus : GBS)はStreptococcus agalactiaeによる感染である.GBSはヒト泌尿生殖器に常在し,妊婦の10~30%がGBSを保菌している1).GBSはGBS保菌妊婦から約60%の割合で新生児に伝搬し,そのうち1~2%に早発型新生児感染症が発症する1).米国ではGBS感染予防対策を実施する以前は,早発型が出生1,000人に1.8人発生していたが,予防対策実施以降,早発型は0.31~0.34人に減少した2, 3).一方,わが国においては,新生児GBS感染症の発病率は0.005~0.02%程度と推測され,米国よりも低い水準にある4).
わが国ではGBS感染予防対策はまだ統一されたものはないが,米国疾病管理予防センター(Center for Disease Control and Prevention : CDC)では,新生児のGBS感染症予防ガイドラインを1996年に策定し5),その後,2002年に改訂版が発表されている6).
本稿ではCDCの2002年改訂版ガイドラインを中心に,GBS感染症に対する児への影響,予防の適応ならびに抗菌薬予防投与の方法ついて述べる.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.