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はじめに
子宮体癌に対する術後療法として,本邦においては多くの場合に化学療法が採用されているが,欧米では放射線療法が広く行われている.しかし,近年,放射線療法よりも化学療法のほうが優れているのではないかというような研究成果も報告され始めている.GOG102では,術後遺残病巣2 cm以下のIII,IV期例を対象に,全腹部照射群とドキソルビシン+シスプラチン(AP)療法群にランダム割付し解析を行っている1).結果は,無再発生存率(60か月)がそれぞれ38%,50%であり,5年生存率はそれぞれ42%,55%であったが,急性期毒性はAP群で強度であった1).JGOG2033では,中リスク以上を対象に術後全骨盤外部照射群とシクロホスファミド+ドキソルビシン+シスプラチン(CAP)療法群にランダム割付したが,5年生存率はそれぞれ85.9%,87.1%と両者とも同等であった2).ただし,中高リスク群におけるsubset analysisだけに限れば,「術後照射よりも化学療法が有用」という結果も得られている2).
一方,従来放射線療法や化学療法が行われてきた肺癌,子宮頸癌や頭頸部癌に対しては,同時化学放射線療法がそれらの単独療法よりも有効であることが示され,臨床の現場で広く採用されている3~5).パクリタキセル(PTX),ドセタキセル(DOC),シスプラチン(CDDP)やカルボプラチン(CBDCA)などは,放射線療法に同時併用することによる腫瘍の放射線感受性の増感作用が知られている6).このような背景から,欧米や韓国では子宮体癌に対する臨床試験としての同時化学放射線療法も行われており,一定の成果が示されつつある(表1).
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