症例
術後補助化学療法後に遷延する血小板減少を示したが,H. pylori除菌により血小板減少の改善をみた子宮体癌の1例
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
,
長町 康弘
3
,
塚本 健一
4
,
藤田 美悧
4
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
3新日鐵室蘭総合病院血液・消化器科
4新日鐵室蘭総合病院検査科
pp.773-776
発行日 2008年5月10日
Published Date 2008/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101783
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症例は59歳(閉経55歳),2経妊・1経産で,不正性器出血を主訴に2005年2月に初診した.諸検査の後,子宮体癌の診断で手術を施行し,さらにTC療法による術後補助化学療法を行った.TC療法6コース目終了後21日目に血小板数8.3万/μlと減少し,その後,白血球,好中球は基準範囲で血小板のみ6~8万/μlで推移し,61日目でも6.6万/μlであった.血液科にコンサルトし,H. pylori抗体102 U/ml(基準値<10)と陽性で,血小板関連抗体(PAIgG)70.2 ng/107cells(基準値9.0~25.0)と陽性の結果より,H. pylori陽性血小板減少性紫斑病の可能性を考えH. pyloriの除菌を試みた.薬剤の内服終了8日目には血小板8.4×104/μlと増加し始め,内服終了27日目には血小板11.1×104/μlと基準値に回復した.治療後約1年間を経過した現在も血小板は基準値を示しており,子宮体癌の再発徴候も認められていない.
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