症例
子宮付属器欠損について—自験例と文献的考察
山本 勉
1
,
長沢 敢
1
,
野島 美知夫
1
,
平間 とき葉
1
1越谷市立病院産婦人科
pp.723-729
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902551
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付属器欠損は女性生殖器の先天異常のなかではきわめてまれである.今回,われわれは2例の卵巣および卵管同時欠損症例を経験した.1例は子宮体癌にて開腹時左付属器の欠損,他の1例は子宮外妊娠にて開腹時に右付属器欠損が認められた症例である.付属器欠損は文献的には卵巣のみ,卵管のみ,あるいは卵巣および卵管の同時欠損などのタイプが報告されている.その成因は後天的に付属器の捻転によって発生する場合,あるいは先天的な発生の過程で問題が生じ,欠損となる場合などが考えられている.捻転の時期については胎児期,幼小児期,思春期あるいは性成熟期などさまざまな時期が推定され,また発生異常に関しては,ミュラー管そのものの発生異常よりも,むしろミュラー管発育過程での部分的血行障害あるいは局所損傷などが考えられている.付属器欠損は開腹時あるいは腹腔鏡検査時に偶然発見されることがほとんどで,術前に確定診断することは難しい.
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