今月の臨床 子宮筋腫の治療―大きく広がった選択の幅
強出力集束超音波による子宮筋腫の栄養血管閉塞による治療
市塚 清健
1
,
折坂 勝
1
,
宮崎 心美
1
,
市原 三義
1
,
石川 哲也
1
,
岡井 崇
1
1昭和大学医学部産婦人科
pp.68-71
発行日 2008年1月10日
Published Date 2008/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101646
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はじめに
近年,医療技術の進歩に伴って,患者のquality of lifeを重視した低侵襲治療への需要が高まっている.強出力集束超音波(high-intensity focused ultrasound:以下,HIFU)は,出力の強い超音波を照射し,プローブから離れた部分に選択的に焦点領域を作り出し,熱エネルギーで深部組織を凝固壊死に導く.そのため体外からHIFU照射を行うことで外科的な侵襲を加えず腫瘍を治療することが可能であり,近年さまざまな領域で研究が行われている.子宮筋腫においてはMRIガイド下の子宮筋腫の治療法(MRI-guided focused ultrasound:MRg-FUS)がすでに臨床応用されている.これは超音波エネルギーにより腫瘍組織自体の焼灼を目指す方法であり,治療時間などを考えると子宮筋腫のような体積の大きな腫瘍に対して用いるには問題が残る.
一方,子宮への血流を遮断することによる子宮筋腫の治療として子宮動脈塞栓術がある.本法は,低侵襲とはいえ,放射線被曝や動脈カテーテルを挿入する観血的手技であり,相応の侵襲とリスクは避けられない.またこの方法は,腫瘍の栄養血管のみではなく子宮動脈灌流領域全体を塞栓するため,正常子宮への影響も危惧される.
そこでわれわれは,上記二法の欠点を克服した最良の低侵襲治療法としてHIFU照射により栄養血管を閉塞させる方法を考案した.本稿では臨床応用に向けたこれまでの主な基礎的検討結果と今後の展望について述べる.
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