- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
UAEの理論:なぜ子宮動脈塞栓術が子宮筋腫縮小に有効か?
なぜ子宮動脈塞栓を行うと,多発する子宮筋腫であっても筋腫核のみが変性し,縮小し,その効果が持続するかという理論について記載した論文はみられない.われわれは子宮動脈塞栓術が子宮筋腫に有効な理由として以下に述べる6点を考えている.
①子宮動脈塞栓術後に,子宮付属器腫瘍のため子宮摘出手術を行った症例の子宮をみると,多発する筋腫核のみが淡黄色に変色し,組織学的にみると筋腫組織のみが変性しvaiableな組織はまったくみられない.一方,正常筋層,内膜組織には変化がみられない(図1,2).
②市村ら1)は,経子宮頸管的子宮筋層針生検を子宮動脈塞栓術の前後に4例に行い,塞栓術後に筋腫組織は壊死に陥るが,同時に採取された子宮内膜,子宮筋層組織には変化は認められないとの報告している.
③筋腫核の動脈網は筋腫核周囲の組織に比べて粗であるといわれる2).
④子宮筋腫核出手術に際して,子宮筋腫は正常子宮組織と明瞭に区別可能な被膜(実際には被膜は存在せず筋腫核によって圧迫された周囲の筋層が薄く被膜状にみえる)に被われ,容易に周りの正常子宮組織から剥離可能である.また筋腫核に入る血管は限られ,止血のため結紮が必要な場合は少ない.止血が必要な出血は周囲の筋層を損傷した場合が多い.
⑤子宮動脈塞栓術に先立って行われる骨盤動脈造影像をみても,筋腫の栄養血管は左右両側の子宮動脈から由来していることがわかる.UAE後にはこれら血管は塞栓されたため造影されなくなる(図3).
⑥子宮動脈塞栓術後の造影MRIでみた血流は,正常筋層では術後回復するが筋腫核では血流は抑制された状態が続く(図4).
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.