今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
III 不妊症
【黄体機能不全】58.クロミフェン投与で基礎体温が二相性を呈して月経が発来したものの,高温期が短く妊娠に至らない患者です.
堀川 道晴
1
1旭川医科大学産婦人科
pp.534-535
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101491
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1 診療の概説
黄体機能不全は,黄体期におけるプロゲステロン分泌量の低下を意味し,不妊症や不育症で高頻度に認められる疾患である.黄体機能不全の診断基準はいまだ曖昧な点が多いが,(1)分泌期中期の血中プロゲステロン値 : 10 ng/ml未満,(2)基礎体温 : 高温相が10日未満,(3)子宮内膜日付診 : 2日以上のずれ,とするものが多い.しかしながらプロゲステロンの分泌はパルス状の日内変動も存在するので,一度のみならず数回の測定による判断が必要である.
排卵障害の認められた症例に対し,クエン酸クロミフェン(クロミッド(R))などの排卵誘発剤の投与により卵胞発育,排卵の正常化により排卵障害の改善および黄体機能の改善がきたされる.一般にクロミフェン投与により月経14~16日目に排卵するようになり,また,short luteal phaseを有する黄体機能不全を改善させるが,効果が認められない場合にはまず高プロラクチン血症など,ほかの黄体機能不全となる原因がないかを調べることが重要である.
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