今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
III 不妊症
【高プロラクチン血症】59.1年前から月経不順となり,最近3か月は無月経となっている患者です.検査したところ,高プロラクチン血症があり,乳房緊満と乳汁分泌もみられます.
久慈 直昭
1
,
長西 美和
1
,
吉村 泰典
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.536-537
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101492
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1 診療の概説
高プロラクチン血症(以下,高PRL血症)では,視床下部におけるドパミン代謝異常を介してGnRHの律動性分泌が障害され,女性では乳汁漏出症を伴う無月経や稀発月経,男性ではインポテンス,乏精子症などの性腺機能障害を生じる 1).高PRL血症の頻度は,健康な成人女性の0.4%,無月経女性の9%,乳汁漏出女性の25%,無月経と乳汁漏出両方の症状を有する女性の70%にみられるという 2).
血中PRL濃度は日内変動を示し,夜間,食後や運動後に一過性に上昇するため,午前中の空腹・安静時に採血し,15 ng/ml以上の場合を高PRL血症と診断する.またPRL血中濃度は種々の要因で変動するため,診断を確定するためには血中PRLを複数回測定することが望ましい.
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