今月の臨床 子宮頸癌の治療─現状と展望
広汎性子宮頸部摘出術(radical trachelectomy)
仲村 勝
1
,
藤井 多久磨
1
,
福地 剛
1
,
青木 大輔
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科
pp.812-815
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101385
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
若年の子宮頸癌患者の増加および晩婚化という社会的背景が重なり,妊孕能温存治療を希望されるケースが増えてきている.現在のところ妊孕能温存が希望される場合に,臨床進行期Ia1期までの微小浸潤扁平上皮癌に対しては子宮頸部円錐切除術の適応が広くコンセンサスとして得られている.しかしながら,Ia2期以上の扁平上皮癌および0期を超える腺癌に対しては,標準的治療として,骨盤リンパ節郭清術を含めた根治的な子宮の摘出術が行われている.近年,初期の浸潤子宮頸癌(臨床進行期Ia2期,Ib1期)を対象に,子宮頸部円錐切除術と広汎子宮全摘出術との中間的な術式として,子宮頸部を基靱帯を含めて摘出し,子宮体部を残すことにより妊孕能の温存をはかる広汎性子宮頸部摘出術(radical trachelectomy)が行われるようになってきた.最近では,その治療予後は広汎子宮全摘出術と遜色がないということが報告されている1).本稿では,本術式の歴史,治療成績および,近年報告され始めた産科的予後についても概説する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.