今月の臨床 母体救急
母体救急―対応の実際
1.大量出血への対応 1)輸血と自己血貯血
小島原 敬信
1
,
中原 健次
1
,
倉智 博久
1
1山形大学医学部附属病院産科婦人科
pp.708-711
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101375
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はじめに
本稿では主に自己血輸血を含む赤血球輸血に関して述べる.
輸血を要する病態
われわれ産婦人科医が関与する輸血の適応は,血液内科的疾患や慢性消耗性疾患よりは,むしろ手術・分娩・外傷などによる急激な血液の喪失が主となる.後者の場合は特に,病態において循環血液量不足と酸素運搬能の不足(赤血球不足)とを分けて考える必要がある.実際,出血多量による死亡は循環血液量不足が主因といわれている.循環血液量が保たれている場合は,ヘモグロビン値が一時的に1.1 g/dlまで低下したものの生存した例が報告されている1).
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